「──科学とは、合理の積み重ねである。」
種子島の砂浜に、患者衣一枚で打ち上げられた白髪交じりの五十代。
剣も槍も握れない男の正体は、現代の大学で教鞭を執っていた地球科学の教授だった。
武器は、土と水と石を読む知識だけ。
「米が獲れぬのなら、土を調べて改良しましょう」
「病は呪いではありません。祈るだけでは治りません」
井戸を掘り、道を敷き、病を退ける。
小さな島で始めた改革は、やがて「チェスト」の島津家を、そして戦国の勢力図そのものを揺り動かしていく。
農業、衛生、水利、道。暮らしの土台を一つずつ組み替え、その先に見据えるのは、誰も死なせないための近代化された軍隊と、乱世を止める抑止力。
島津四兄弟、各地の戦国大名との邂逅。そして、やがて彼が手を伸ばす――蒸気機関の発明。
「こんな残酷な時代は――必ず終わらせますから!」
科学を知らぬ時代に、科学者が現れたとき、乱世はどこまで変わるのか。
※当時の薩摩弁は外国語に等しいため、簡易薩摩弁or標準語で進めて参ります※