過労死した俺は――貴族社会に転生していた。
しかもその身体は、
社交界で弄ばれ、利用され、搾取され、
婚約破棄と断罪の末に、毒を盛られかけた「悪役令嬢」。
次の婚約者として現れたのは、
冷酷、無表情、心がないと噂される宰相ユリウス・フォン・アイゼンだった。
地位と利害による、割り切った契約結婚。
……のはずだった。
けれど彼は、やけに距離が近い。
声は低くて優しく、触れ方は驚くほど慎重で、
指先に触れられるたび、この身体だけが熱を帯びていく。
(心は、冷静なのに……)
ユリウスと手を組み、
嘘を重ねてきた元婚約者を、証拠と論理で追い詰め、
社交界で人を弄んできた男を、笑顔のまま社会的に抹殺していく。
そんな俺を、いちばん近くで見つめていたのがユリウスだった。
冷たいはずの宰相。
優しさは深くなり、
独占欲は隠されなくなり、
気づけば逃げ道そのものが、彼によって塞がれていた。
これは、
一度すべてを失った俺が、
今度こそ自分の意思で生き方を選び、
恋とざまぁを手に入れていく物語。
俺は、この男に堕ちていくのか。
それとも最後まで、主導権を握ったままでいられるのか。