学園への入学の日、ミランダ・アレクセリアは奇妙な光景を見た。どこか懐かしいような、それでいて背筋が寒くなるような、おかしな既視感。
婚約者である王太子ジョゼジル・オフマルトがピンク色の頭の女子生徒と一緒に目の前から居なくなった。ほんの一時前、ジョゼジルは婚約者であるミランダに手を差し伸べようとしていたと言うのに。
その直後からミランダの頭の中に記憶が流れ込んできた。しかも大量に。
記憶を整理すれば、ここが前世日本人であった時に遊んでいた乙女ゲームの世界だと知る。自分は些細なことで断罪され、右腕を切り落とされた上に辺境の地に追いやられる悪役令嬢ミランダだったのだ。
断罪されたくないミランダは、ヒロインたちに見つからないように策を練る。
そうして断罪劇が繰り広げられた時、悪役令嬢は回避を試みる。