幼い頃、森で迷子になり空腹で倒れていた少年オーレリアン・エルフレイムは、一匹のわんるんもんと、銀髪の少女に命を救われた。
その少女は「困っている人を助けるのは当たり前だ」と微笑み、彼の初恋となる──。
それから十一年。
十六歳になったオーレリアンは王国軍の若き軍人となり、社交界で一人の女性を目にする。
第二王子から婚約破棄を言い渡されながらも、一切言い訳をせず、毅然とその場を去る公爵令嬢シンクレア・ローゼンタール。
「……なんて格好いい人なんだ」
彼女の生き様に心を奪われたオーレリアンは、一年後に世間から「行き遅れ」と陰口を叩かれる彼女へ、自ら求婚する。
二人の前に現れたわんるんもん、キララによって、十二年前の運命の出会いが明らかになる。
──彼女こそ、幼い自分を救ってくれた初恋の人だった。
しかし、恋をしていたのはオーレリアンだけ。
シンクレアにとって結婚は責任であり、夫婦になったからといって恋人になれたわけではない。
それでもオーレリアンは焦らない。
「クレアが俺を好きになってくれるまで待つ」
真っ直ぐな愛情に少しずつ心を開いていくシンクレア。
夫婦として共に戦い、共に笑い、家族になり、やがて恋人になっていく二人。
これは──初恋の人と結婚した青年と、夫婦になってから初めて恋を知る女性が紡ぐ、結婚から始まる初恋の物語。
恋人になってから結婚するのではない。結婚してから、恋が始まる。