処刑台の上で、私は静かに息を吐いた。
妾腹で生まれた伯爵令嬢として、家の罪をかぶせられ「悪名令嬢」と断罪された私の人生は、ここで終わるはずだったからだ。
だが、私の首に刃が振り下ろされる直前、真紅の軍装をまとった男が広場に現れる。
血も涙もない征服王として恐れられる隣国皇帝。その男が、私を見るなり膝をつき、囁いた。
「──ようやく見つけた。ずっと、君を探していた」
救いなどないと諦めていた女と、誰も信じない冷酷皇帝。
冤罪、身分偽装、十年前の大火の真相。重なり合う謎の中心には、なぜかいつも私がいる。
処刑待ちの悪名令嬢が、世界でただ一人愛される“皇妃”になるまでの物語。
傷だらけの自己肯定感が、溺愛と真実によって塗り替えられていく過程を、丁寧に描いていきます。
序章(1〜8)/宮廷編(9〜18)/陰謀編(19〜28)/決戦編(29〜36)/終章(37〜40)