この世界では五歳の《魔力測定》で人生がほぼ決まる。だがリクス・フェルドは測定結果が「ゼロ」――最低値すら反応しない異常値だった。魔法学園に入れたのは才能ではなく“観測対象”として。周囲からは「使えない生徒」として扱われ、本人も「まあ、使えないし」と納得していた……はずだった。
実技を見学して気づく。「魔法って、押し出すから疲れるんじゃない?」。押さずに“通す”だけで成立させた瞬間、無詠唱・低燃費・高威力の魔法が発動し、学園の常識が崩壊する。
さらに校外実習で魔物と対峙した瞬間に《鑑定》が発現。倒せば魔石が落ち、荷物が邪魔で《収納(アイテムボックス)》が開き、歩くのが面倒で《転移》まで発現してしまう。本人は「便利になったな」程度だが、冒険者ギルドは震え、商会は金貨を積み、国家研究部は頭を抱える。
風の理論家セレナ、地の開発者リーネ、水の財務官アクア、火の軍務官フレイ、闇の情報官ノクス、光の調停者ルミナ――属性違いのヒロインたちは、リクスの“無限魔力”を社会に落とし込むために集う。
ダンジョン攻略で稼いだ金と魔石資源で荒れ地を買えば、拠点が街に変わり、領地経営が始まる。やがて他国・教会・貴族の思惑が絡み、国家運営へ。リクスは今日もマイペースに最適化するだけ――なのに世界は勝手に整っていく。
これは「魔力ゼロ」と呼ばれた少年が、無自覚にダンジョンから国を作り、世界の余剰魔力すら循環させてしまう、コメディ多めの爽快無双譚。