アストレア王国の伯爵令嬢クラリッサは、和平の証として敵国ヴァイスガルド帝国の公爵セオドリックへ嫁ぐことになった。選ばれた理由は、クラリッサの美しい青い瞳だという。
「彼が求めているのは、この瞳だけ」
そう思い続けていた彼女に、夫は初夜にこう告げた。
「子は望まない」
愛されることも必要とされることもないのだと悟ったクラリッサは、公爵夫人としての役目を静かに果たそうと心に決める。
彼女はまだ知らない——あの夜の言葉が、不器用な夫なりの精一杯の優しさだったことを。
瞳の色にしか価値がないと思い込む伯爵令嬢と、想いを言葉にできない龍人公爵が紡ぐ、すれ違いの溺愛物語。