この世界の子どもたちには性別がない。
中には魔法の力を持つ子どもたちがいる。
大人になると性別が分化して、魔法の力は失われる。
大人になる条件は三つ。
大人に守られずに、過酷な環境で生きること。
大人の知識に気づき、身につけてしまうこと。
そして、誰かに恋をすること。
だから魔法使いたちは、優しい繭の中で眠っている。
いつか役割を終える日まで。
施設《ホーム》の南一班は、三人一組。部屋にも、ベッドは三つしかない。
南一班で暮らすのは、深緋、鶸、青藍の三人。
深緋は、以前の南一班で二人を失い、ひとりだけ三人部屋へ残された。
そこへ、よくしゃべってよく眠る鶸と、本が好きな青藍がやってくる。
どうせまたいなくなる。だから二人を好きにならない。
そう決めたはずだった。
三人は一緒にご飯を食べ、訓練し、戦場へ出て、また同じ部屋へ帰ってくる。散らかった服を拾い、毛布をかけ、検診の結果を気にしながら。
やがて、三人のうちひとりの魔法適性が、少しずつ下がり始める。
同じ三人でいられる日が、いつまで続くのかは誰にもわからない。
それでも南一班は、子どもたちが戦場から帰ってくる三人部屋であり続ける。