ここは、魔法が存在する世界。
アルカナ大陸と呼ばれるこの大地には魔族を統べる魔王がいた。
魔族と人間の戦争。勇者マリス・ゴールドは仲間と共に戦い、魔王と相討ちになる形で争いを収めたのだった。
それから5年後。
勇者の弟であるノア・ファトリィブは、死んだ兄から手紙を受け取る。毎年誕生日になると送られてくるようになっていたのだ。
しかし、そこには祝いの言葉ではなく、兄の死の真相が書かれていた。
兄は魔王と相討ちになったのでは無い。仲間に裏切られ、殺されていた。
ノアにはその裏切り者を見つけ出して欲しい。それが手紙の内容だった。
兄の死の真相を聞いたノアは、兄の情報を詳しくを知るために兄の仲間だったクミ・ヴィバールの家へと向かった。
クミから聞かされる兄の旅路。それを聞いたノアは兄に託された願いを受け継ぎ、兄の仇を討つための旅に出る事を決意した。
しかし、これはノアだけの物語では無い。
ノアが受け取った手紙には魔法がかけられていた。マリスがかけた蘇りの魔法。マリスはノアの心の中で蘇る事に成功していた。
肉体は失っても、意識はノアの中にある。マリスはノアの影として共に旅に出る。
これは、ノアが兄の仇を討つ物語であると同時に、マリスの復讐の物語だ。