田中和彦、41歳。ダンジョン清掃員。
22歳の頃、探索者としての才能がないことを悟った彼は、Fランクのまま夢を諦めた。
それから19年。ダンジョンに潜っては、モンスターの死体や残留魔素を『清掃』する毎日を送っていた。
そんなある日、清掃作業中の浅層に、本来なら深層にいるはずのレッドドラゴンが出現する。
逃げ遅れた後輩を守るため、田中は咄嗟にドラゴンのブレスへ『清掃』を使用。
——ブレスが、消えた。
さらに襲いかかってきたドラゴンを殴った結果、一撃で討伐してしまう。
その一部始終は、人気女性探索者チーム『VIVID』の配信によって全世界へ。
「いや、俺。ただの清掃員なんですけど⋯⋯」
後日判明した田中の魔素量は——8192。
世界最強の探索者ですら1024。
かつて魔素量5で探索者を諦めた男は、19年間ひたすらダンジョンを掃除し続けた結果、本人も知らないうちにとんでもない化け物になっていた。
ドラゴンをワンパン。
魔法も毒も呪いも『清掃』。
ダンジョン崩落から探索者を救出。
そして、そのたびにネットでは大バズり。
世界中が田中を放っておかなくなっていく。
それでも本人が望むことは、たった一つ。
「探索者?いや、今の仕事結構好きなんで。清掃します」
これは探索者になれなかった男が、19年間続けてきた『清掃』で、やがて世界の危機まで清掃してしまう物語。