サレンには夢があった。
それは魔法国家クライドラの中枢にして総本山である、魔法統括局へ入ること。
そこは唯一、才能さえあれば身分を問われず、絶大な地位と破格の待遇が約束される場所。
だが、サレンには致命的な欠点があった。
それは、生まれつき保有魔力量が少ない、典型的な落ちこぼれの一人だということ。
だが、サレンは魔法を諦めることができなかった。
何故なら、その夢は既に彼女だけのものじゃなかったから。
だけど、時間がない。
迫る試験には、どうやっても合格できない。
そんな時、サレンは放棄されかけた書庫で古びた箱を発見する。
そこに封じられていたのは、かつて人類に魔法を授けたとされる精霊の一柱だった。
サレンは問われる。汝の願いは何かと。
サレンは答える。今を打開できる力と。
彼女は知らない。
その願いには、大いなる代償があることを。
サレンは知らない。
その願いは、やがて全てを壊すことになると。
星へ導かれ、門は開かれる。
これは彼女が英雄へと至り、傾国の売女と糾弾される悲劇の物語。