私は夫の顔を覚えていない。
貴族同士のお家の事情で結婚した彼は、ろくに会う機会もないまま戦争に行ってしまい、終戦後、物言わぬ鎧となって帰ってきた。
「おかえりなさい……と言っていいのかしら」
鎧を前に呆然とする私を老執事は諌めた。
「奥様、そんな事を言っている場合ですか!
この場はこの爺に任せて、お下がりください。危険です」
「そう?」
ーー
出征時の全身甲冑姿の夫しか覚えていない奥様が、戦後の混乱期に片田舎の領地を守りつつ、愛する夫を取り戻すまでのお話です。
……シリアスっぽく始まりますが主要キャラは概ねトンチキです。
ゴシックホラー風味のシリアスな状況をコメディタッチでお送りします。内政、ロマンス、アクションてんこ盛り。ハッピーエンド確約。(全5章予定)
1章完結しました。
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■第1章 バロールの風は昏き淵より来たる(完)
呪われた聖珠を探して神聖帝国の勇者がやってきた。どうする?!
魔導王国の北の辺境、バロール領の領主館で策謀と勘違いが交差する。
■第2章 激流と雷の支配者
バロール北方は広大な荒地。貧しい村に派遣された黒騎士一行は……。
内政とこの地の伝承にまつわるお話。
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風が吹きすさぶ辺境で、しっかり者の奥様が謎の黒騎士との交流に悩みながら、ふてぇ根性の家臣団と共に危機を乗り越えます。
カッコいいはずの黒騎士の"かわいそかわいい"様を、凛々しい奥様と一緒にお楽しみください。