会社をクビになった。
後輩に仕事のミスを押し付けられ、恋人にはその後輩との浮気までされ、二十三歳のサラリーマン・如月樹は職も恋人も失った。
「……もう、面倒くさいな」
すべてを諦めた雨の夜、樹の目の前に突然現れたのは、謎のシステムだった。
【アルティメット・ウェルス・システムを起動します】
その能力は、金を使えば使うほど、さらに莫大な金が手に入るというもの。
ただし条件は一つ。
投資禁止。
転売禁止。
利益目的の使用禁止。
つまり、ひたすら金を使わなければならない。
「……俺、別に金持ちになりたかったわけじゃないんだけど」
だが、本人は無駄遣いのつもりでも、なぜか周囲からは天才的な経営判断に見えてしまう。
買った旅館は大繁盛。
何気なく購入した不動産は価値が急上昇。
道楽で始めた店は行列のできる人気店。
そして、金にも地位にも興味を示さない樹のもとには、少しずつ個性豊かな女性たちが集まり始める。
これは、会社と恋人を同時に失った若き元サラリーマンが、望んでいないのに日本一の大富豪へと成り上がっていく物語。
――金はいらない。
ただ、自由に生きたいだけだった。