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取得日時> 2026-10-13 22:09:05
氷の辺境伯と、名前を忘れない神さま〜推しの隣に、座りたい〜
母は、私を産んだ夜に死んだ。
 それから十七年、私の名前をやさしく呼ぶ人は、誰もいなかった。――神さまのほかには。
 魔力ほぼゼロのお飾り聖女セラフィーナは、王家の都合で、北の氷の辺境伯のもとへ嫁がされる。三ヶ月以内に署名がなければ、死刑という条件つきで。
 「不肖セラ、全身全霊をもって、北の辺境伯閣下のもとへ参ります」
 ……だって相手は、前世で何度も読み返した物語の、私の生涯の最推しなのだから。
 けれど原作の閣下は、最後まで誰にも名前を呼ばせず、ひとりで峠に立ち、帰ってこない。
 暖炉に薪を一本しかくべない城。九年、自分を許さずにいる辺境伯。娘の名を呼べない父親、言いかけてはやめる側近、鏡の中でしか生きられなかった兄。
 だったら私は、床を磨いて、スープを運んで、ひとりずつ名前を呼ぶ。推しの隣に、座るために。
 名前をひとつも忘れない神さまと、凍えた辺境伯と、お飾り聖女の、雪とスープと、じれじれの恋の物語。
※ハッピーエンドです。完結済

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