王立学園の卒業式当日。
公爵令嬢アリアベルは、王太子から無実の罪を着せられ、公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。
――けれど彼女は、少しも動じなかった。
なにしろ、軽薄で見栄ばかりの無能な王太子との結婚など、もともと望んでいなかったのだから。
「婚約破棄?どうぞご自由に」
その一言をきっかけに、事態は思わぬ方向へと転がり出す。
愛娘を侮辱されたエーヴェルハルト公爵は激怒。
王家との信義は失われたと判断し、王国からの独立を宣言する。
軍事・経済・物流の中枢を担う公爵家の離脱――それはすなわち、王国の崩壊を意味していた。
一方その頃、当のアリアベルはというと。
「せっかく自由になりましたし、旅に出ますわ」
婚約も義務もすべて手放し、あっさりと諸国漫遊へ。
だがなぜか、学園の優秀な学友たちが次々と同行を希望し、旅はいつしか規格外の豪華バカンスへと変わっていく。
行く先々で人を惹きつけ、問題を軽やかに解決し、気づけば各国の重鎮にまで一目置かれる存在となるアリアベル。
その裏で、彼女を失った王国と元婚約者は、ゆっくりと、しかし確実に追い詰められていく――。
これは、婚約破棄された公爵令嬢がすべてを手放し、
自由と幸せを手に入れていく物語。