社畜として25年働いた末、職を失った男・クスノキ・ユウマ。倒れた彼が目を覚ますと、そこはやたら忙しい女神の窓口だった。ろくに希望を伝える暇もないまま異世界へ——しかも望んだのは、勇者でも英雄でもなく「目立たず、ほどほどの趣味と社会貢献」。
転生先で平凡に育ったユウマが出会った「趣味」は、王都名物の公開断罪見物だった。観衆の熱狂に魅了され、ヤジと石投げでストレスを発散する日々。そんなある日、王太子、聖女、宰相まで揃う「国家級」の断罪が始まる。断罪台に立たされたのは、婚約破棄を告げられる公爵令嬢——。
その瞬間、ユウマの目の前にスキル獲得の表示が現れる。
「悪人に必中」の石投げ、そして「悪人を的確に罵る」罵声。——最高の趣味に、最高の力を得た……はずだった。
だが、放った一投が引き起こした「ありえない命中」が、断罪台の空気を少しずつ変えていく。
断罪の舞台は、観衆の快感のためのショーなのか。それとも、本当の悪を炙り出すものなのか。
安全圏で石を投げていたはずの男が、気づけば国家の事件に巻き込まれていく、断罪エンタメ。