ゲイをアウティングされてしまったことで、吹っ切れた高校三年生の久米香月(くめ かずき)が、それまで思いを寄せていたクラス副担任の縄手章畝(なわて あきや)に告白する。たったその行為が連鎖して、久米を取り囲むすべての環境が入り乱れながらめくれてゆく。家族とはなにか、自分とはなにか、絆とはなにか、都合のいい言葉で何となくわかったようになってしまっていた日常が、目の前に鋭利な刃物として突き付けられてしまった。17歳の久米香月が、全力で駆け抜けた高校最後の夏の物語。父親、母親、彼女、先生、婚約者、ドラァグクィーンetcそれぞれの思いが、久米を未来へと導く。
初代天皇である神武天皇が即位した奈良県橿原市を中心に話は進み、転生ファンタジー要素を盛り込みながら、歴史上のセクシャルマイノリティの生き方や概念、橿原市近辺の伝説、さらに野球部青春ドラマと共に今までにないボーイズラブの枠を越えて描く長編となっております。