三月三十一日。それが、俺たち二人の誕生日。
同じ年の同じ日、同じ場所で、同じ時間に産まれた子供。
お隣同士の子供たちは十七年間、姉弟のように一緒に育ち、大きくなった。それが俺たちの奇跡のような共通点だ。
高校三年生の俺「五十里悠真」には、昔からの習慣という名の「お決まり」が二つある。
それは隣に住んでいる、とっても特別な幼馴染である「白咲羽依里」と話すこと。
そして、ある言葉を毎日告げること。
それに例外というものはなく、どうしても出来ない時以外は、毎日欠かさず行ってきた。
雨の日でも、台風で交通機関が麻痺しても、俺がインフルエンザにかかっても、何らかの手段で羽依里と一日一回会話を交わす。できれば、顔を合わせて話す。それが俺の「お決まり」だ。
これは、そんな変な習慣を持つ俺と変な習慣の理由になっている羽依里が過ごすとある一年の変化を歩くお話だ。
俺がこよなく愛する、しっかりものだけどふわふわで小さくて、柔らかくて弱くって、それでいて意地っ張りで寂しがりやな女の子と、そして個性豊かな友人と過ごした高校最後の青春と、俺と彼女の生涯最後になる恋の物語。
変化を呼ぶ春は俺達の元へ等しく訪れる。来たるべき春へと進むために。