マレリーナは国のために政略結婚を強いられた若き王女。
相手は冷酷で、美麗な容姿を持ちながら浮いた噂がひとつもないことから女嫌いとさえ噂されている他国の王太子ユーリク。
「私に愛されることなど望まないように」──結婚式当日に言いはなたれた彼の言葉にマレリーナの心は凍りつく。
けれど、マレリーナはユーリクの瞳の奥にひそむ孤独に唯一気がついた。彼女は妻として彼にそっと寄りそうことを決意する。
マレリーナに冷淡に接していたユーリクだが、彼女の優しさに触れて次第に心を解かされていく。やがて彼女への想いは愛情へと変わってゆき、ふたりは子宝にも恵まれる。
これからも幸せな日々がつづいていく。そう思っていたある日、マレリーナが病に倒れて──。
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