見せた途端、相手のものになる。
それが商談なら、彼女は「見せ方」から作り直す。
女商人リールは、そうして街の流れを変えていく。
知識だけでは、一銭にもならない。
価値は、売り方と仕組みで初めて生まれる。
一つ問題を解決するたび、人と物の流れが変わり、それぞれの立場の人間が次の手を打つ。
誰が払うのか。
誰が決めるのか。
その仕組みは、次も同じように使っていいのか。
王国は、仕組みが生む「新しい線」を静かに見つめている。
ギルドも大聖堂も、動き始めた金と人の流れを黙って見てはいない。
その流れから外れた人々にも、守ってきたものがある。
――正しい商いは、誰かの居場所を奪うのか。
望んだわけではない結果に、商人はどこまで責任を持つのか。
小さな商売が、世界の境界線を動かしていく。