これは、『事象の地平線で踊る円舞曲』と同じ時間軸で並行して起こった、もうひとつの物語。
次元の狭間に消えた妹を探すため、異世界へと飛び込んだ《小枝》は、広大な森に隣接する城塞都市ブレスベルゲンへと辿り着く。
そこで彼女は、日本語を公用語とする異世界人たちの存在に戸惑いながらも、失踪した妹の情報を求めて行動を始めることになった。
しかし小枝は、ただの少女ではない。
彼女は造られてからの18年間、日本の山奥で人目を避けながら静かに暮らしていた、超兵器——。
その生い立ちゆえに、常識外れな行動を次々と積み重ね、周囲から「色々な意味で非常識」な存在として認識されていく。
だが、それはまだ序章。はじまりに過ぎなかった。
やがて小枝の周りには、彼女と同じく非常識を体現するような仲間たちが集い、ついにはブレスベルゲンそのものを混沌の塊のようなトンデモ都市へと変貌させてしまうのである。
――そう、これは、非常識の権化たる小枝と、カオスな仲間たちの日常(?)を描いた物語。
それぞれの思惑、願望、常識、そして少しの誤解が交錯し、世界の常識を覆していく激動の物語である。