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取得日時> 2026-06-01 00:10:14
侯爵家の「なくても困らない令嬢」が本当にいなくなったら、困った人たちがいたそうです
侯爵家に嫁ぐ予定だったアイリーン伯爵令嬢の日課は、婚約者の家の帳簿をつけることだった。
 家臣たちの給与管理、季節ごとの予算組み、税収の計画と精査——八年間、誰に頼まれたわけでもなく、「女にしては珍しく数字が得意だね」と言われたまま続けてきた仕事。アイリーンには、それが誇りだった。
 夜会の帰り道、婚約者のロランが告げた。「君は地味すぎる。もっと華やかな令嬢に変わることにした」
 アイリーンは頷いた。翌朝、八年分の帳簿と引き継ぎノートを侯爵家の執事室に積み上げて、屋敷を出た。怒りはなかった。ただ、仕事はきちんと返してから去るべきだと思っただけだ。
 三ヶ月後、侯爵家の財務が乱れ始めたと風の噂で知った。
 そのころアイリーンは、辺境の公爵家で静かに暮らしていた。無表情で人付き合いが不得手と噂される辺境公爵に、「この税制改革案はあなたが? この国の仕組みが変わる」と言われながら。
ハッピーエンド。

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