かつて魔導錬金術により繁栄を極めたアルケストラ帝国は五百年前に滅び、
その後、大陸を統一したグランツァール帝国も、今では皇帝の威光は地に落ち、
貴族たちは独自の軍を持ち、覇を競い合う群雄割拠の時代を迎えていた。
そんな大陸中央部の荒野の南側に領地を持つヴァルトハイン公爵家に双子の兄弟が生まれる。
争いを嫌い、静かに学問と向き合う兄・ユリウス。
一方、野心に満ちた弟・ライナルトは雷を操る天賦の才を秘めていた。
十五歳の【天命覚醒の儀】――それは、二人の運命を大きく分ける。
ユリウスが得たのは、戦いとは無縁の「〈工場〉」というスキル。
これを無能と見なした父は、ユリウスを家から追放。
代わりに雷帝の才を持つライナルトを後継とし、彼の下に軍を集め始める。
追放されたユリウスは、一人の奴隷を選ぶ権利を与えられ、ドワーフの少女・ミリと共に
北限の砦――ノルデンシュタイン砦へと向かう。
彼は実は異世界からの転生者であり、前世は日本の技術者。
死の間際に「次は人の役に立つものを作りたい」と願った男は、荒野の地で再び“ものづくり”の人生を歩み始める。