―舞台は、ミッドガルドへ。
神々の計略により、グレイプニルによって縛り上げられた大狼Fenrir。
ラグナロクの日、彼が神話界へと舞い戻るまでを描いた再訳の物語。
解放される日が来るのをじっと待ち侘びるなんて、うんざりだ。
自らを束縛する戒めを壊すため、彼は自らの複写を、一匹の狼として、異世界へ産み堕とす。
時は9世紀初頭。降り立ったのは、第2階層、ミッドガルド。
黒海に睨まれたコンスタンツァ寄港有するドブロジャ地方の小国ヴェリフェラートは、絶えずブルガリア帝国とビザンツ帝国による支配権の争奪に晒された傷跡を残しながらも、交易港として発展を遂げていた。
しかしながら、ドニエプル川を通じて黒海方面に進出し、スウェーデンよりビザンツ帝国へと南下する過激なヴァイキング勢力の侵攻により、次第に彼らの略奪に晒されるようになって行く。
此処で、復讐の機会を狙うのが良いだろう。人々が自分を神として崇める、理想の王国を築き上げるのだ。混乱に乗じて乗り込んだFenrirだったが、そこには既に、北欧神話の神々の痕跡が残っていた。
此処でも、彼らとやり合わなくちゃならないらしい。
もう狩られる訳には行かない。今度こそ、お前達を地獄の底へ送ってやる。
最後の日、微笑むのは誰か。
ラグナロクに向けた、盤下の神々の戦いが幕を開ける。