アビントン男爵家の庶子である私……リザは、希少な全属性魔力を持つという理由でサーヴィス伯爵家の次男クレイグと婚約が結ばれた。
しかし、私との婚約が気に入らないらしいクレイグとの関係は徐々に悪化していく。
クレイグの地雷を踏まないよう神経を擦り減らし、彼の要望に応えるだけの関係にほとほと疲れてしまった私は、婚約を解消したいとまで考えるようになっていた。
だが、これは我が家から持ち掛けた縁談であるため、私から解消を言い出そうものなら違約金が発生してしまう。
そんな時、ついにクレイグの口から決定的な言葉が放たれる。
「そんな態度ならリザとの婚約を解消したっていいんだぞ!」
私は言質を取ったとばかりに前のめりで返事をする。
「それでは婚約を解消いたしましょう!」
「違っ……! さっきのはそういう意味じゃない!」
しかし、なぜか婚約の解消を渋るクレイグ。
「それじゃあ、僕が婚約解消の証人になってあげようか?」
そこへ、クレイグの言葉を遮るように私の背後から声がかかる。
驚いて振り返ると……そこには魔力ゼロの『顔だけ令息』と呼ばれる美貌の青年ルシアンが立っていた。
クレイグとの婚約解消へ向けて協力を申し出てくれたルシアンだったが、彼はとんでもない条件を提示してきて……!?