一度目の人生で、神崎蓮は世界を襲った異常寒波の中、信じていた女に裏切られ、食料を届けた先で命を落とした。ところが次に目を覚ますと、時間は寒波が始まる一か月前まで戻っており、さらに蓮の手には、あらゆる物を保存できる巨大な収納空間能力が目覚めていた。
二度目の人生では、もう誰も信じない。蓮は食料、水、燃料、医薬品を集め、住居を要塞へと作り変えながら、やがて訪れる極寒の世界に備えていく。そして予想通り寒波が始まり、物流が止まり、インフラが壊れ、昨日まで当たり前だった日常が少しずつ失われていった。
だが、蓮が前世で本当に恐ろしいと知ったのは、寒さそのものではない。
食料が減り、助けが来なくなり、法律も警察も意味を失っていくにつれて、昨日まで普通に暮らしていた人々が変わっていく。助け合っていた隣人が互いを疑い、家族を守りたいだけだった人間が一線を越え、わずかな食料を巡って善悪の境界さえ曖昧になっていく。
暖かな要塞と膨大な物資を手に入れた蓮は、その変化を静かに見つめながら、今度こそ自分のために生きることを選ぶ。そして、かつて自分を裏切った女との関係も、二度目の世界で再び動き始める。前世とは違う道を歩み始めた蓮と彼女が、この極寒の世界でどこへ辿り着くのか――。
これは、収納スキルで物資を集めて無双するだけの物語ではない。
終わりの見えない極寒の中で、社会が、人間関係が、そして人の心がどこまで変わっていくのか。二度目の人生を手にした一人の男の視点から、その崩壊を描く終末サバイバル。