かつて世界に君臨した魔王ヴァルセイドは、勇者との死闘の末に封印された。滅びの寸前、彼はただ一つの疑問を抱いた。
――俺が人間だったら、もっと強くなれたのか?
数百年の時を経て目覚めると、そこは見知らぬ青空の下だった。
転生。しかも同じ世界に、だ。
魔王時代の記憶も、戦闘の全てを知る黒剣ヴァルムも、そのまま持ち越した。だが体は十六歳の少年のもの。異能力が支配するこの時代において、彼の適性判定結果はただ一言――「無能者」。
異能なし。魔力なし。あるのは数百年分の戦闘経験と、腰に下げた黒剣一本だけ。
それでも黒瀬煉は笑う。飄々と、掴みどころなく。
「まあ、なんとかなるだろ」
無能者として底辺からスタートし、異能者育成最高峰「覇凰学園」へ殴り込む。中級、上級、そして世界にたった数人しか存在しない最上位――覇級(アルティマ)の異能者たちを、剣一本と人間の肉体だけで次々と打ち倒していく。
しかしその裏で、封印されたはずの魔王の体が目覚めはじめていた。なぜ同じ世界に二つの自分が存在するのか。謎の組織「冥焔会」が動き出すとき、数百年前の因縁が現代に牙を剥く。
異能も魔法もいらない。俺には剣がある。そして、頂点を目指す理由がある。
元魔王、人間として覇道を征く――本格異能力バトルファンタジー、開幕