公爵令嬢レイベルナが授かったスキルは、ただ可愛らしい音が鳴るだけの《呼び鈴》だった。
役立たずのスキルだと笑われながらも、彼女は王子の婚約者として王妃教育、法律、財務、契約を学び続けてきた。
だが、春の祝宴の夜、第一王子エドガルは子爵令嬢ミレーヌを隣に立たせ、レイベルナへ一方的な婚約破棄を宣言する。
追い詰められるはずだったレイベルナは、静かに銀の鈴を鳴らした。
「婚約破棄は重大な契約解除でございます。この場の責任者をお呼びしてもよろしいでしょうか」
――チリン、と鈴が鳴る。
次の瞬間、現れたのは寝間着姿の国王陛下だった。
《呼び鈴》の本当の力は、その場で本当に責任を取るべき人物や証拠を呼び出すこと。
王妃、財務卿、教育係、商人、黒幕、そして隠された不正契約まで。
鈴の音が鳴るたび、王宮の嘘と責任逃れが次々に暴かれていく。
これは、役立たずと笑われた令嬢が、婚約破棄をきっかけに王宮監査室へ入り、逃げた責任者たちを順番にお呼びする物語。
そして、静かに彼女の隣へ立つ近衛騎士セドリックとの、少しずつ甘くなる恋の物語でもある。
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※短編『婚約破棄されましたので、責任者をお呼びしますわ』の連載版です。
第1章は短編版を加筆・再構成した内容になります。
短編既読の方は、第7話からでもお読みいただけますので、読んでいただけますと嬉しいです。