貞操は男のもの。
美人は蔑まれ、厚化粧が讃えられる世界。
――常識を持った公爵少年が、この歪んだ王国を変える。
あらすじ
百二十年前の「魔力疫病」により、男の出生率は女の十分の一にまで落ち込んだ。
男は希少で、神聖で、触れることさえ許されない存在。
女たちは“選ばれるため”に競い、飾り、媚び、そして――貞操を捧げる側になった。
それが常識となった王国、ミラリア。
そこでは、丸い頬と濃い化粧の女が“美女”と呼ばれ、
繊細で整った顔立ちの女は“醜い”と嘲られる。
美と愛と道徳が、すべて逆さまに定義された世界。
そんな歪んだ楽園に、一人の男が転生する。
五十歳で過労死した日本の会社員・神谷誠一。
目を覚ますと、彼は十五歳の貴公子――
レオン・アルディス公爵として生まれ変わっていた。
「婚約者を探すために学院へ行け」
そう命じられたレオンは、王立学院へ入学する。
そこで出会うのは、
・“骸骨のよう”と蔑まれる
第三王女リリアナ
・地味で無愛想と噂される天才経済官僚
マリア・グレイス
・男顔負けの女騎士候補
カトリーナ・ベイル
・庶民出の発明少女
ソフィア・リンド
彼女たちは皆、この世界の基準で「残念」とされていた。
だが、その瞳には――この国を変える力があった。
「この世界の“美しい”は、間違っている。」
前世の常識を胸に、
一人の公爵少年と四人の“異端の少女”が、
貞操も、美醜も、価値観も覆す王国改革の物語が始まる。
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