第三王女エルフリーデは、
王宮では「雑務王女」と蔑まれていた。
式典準備、書類整理、使節対応の裏方、
果てはメイドが担うはずの仕事まで押し付けられ、
兄姉たちからは「暇人」「役立たず」扱い。
――だが、それはすべて誤解だった。
外交文書の調整、領主間の紛争処理、
会議運営から危機回避の根回しまで。
王国が表向き滞りなく回っていた理由は、
彼女がすべて裏で片付けていたからに他ならない。
第一王子や王女の仕事さえ、
実のところ、その多くは彼女が代わりに処理していた。
それでも評価されることはなく、
功績はすべて兄姉の名の下に消えていく。
そしてある日、
エルフリーデは国外任務という名の追放命令を受ける。
「雑務係」を切り捨てたつもりだった王宮は、
やがて気づくことになる。
自分たちが追い出したのが、
王国そのものを支えていた人材だったという事実に。
これは、
使い潰された第三王女が、
追放先で真の価値を認められ、
世界に必要とされていく物語。