死神に選ばれ、祝福を受けた少女がいた。
それは「不老不死」という名の呪い――。
ただひとつ彼女が死神と再び出会えるのは、
《死神の揺り籠》に包まれた、夢の中でだけ。
永遠を彷徨うその魔力は、人の祈りと狂気を惹き寄せ、
幾度も運命の渦を呼び起こす。
少女が最後に手を伸ばすのは、愛か、それとも破滅か。
これは、死ねない少女と、彼女を巡る者たちが紡ぐ幻想と祈りの物語。
第一章『不死の少女と風の街で交わる運命』
過去から逃れながら生きる不死の少女ベルは、風の街エルセリオへと辿り着く。
かつての友である魔導師エラヴィアとの再会、青年カイルとの出会い。
街に迫る陰謀、記憶の隙間から滲む罪の気配――
それは、止まっていた運命の歯車が再び回り始める音だった。
第二章『歪んだ愛と慟哭の祈り』
ベルを崇拝し、狂気に堕ちたかつての聖騎士セラフ。
彼はいまもなお彼女を求め、歪んだ“楽園”を築き上げていた。
失われた信仰、祈りの形をした執着。
“愛”と呼ぶには痛ましすぎる感情が、静かに狂気へと変貌してゆく。
囚われたベルを救い出すため、それぞれの願いが交差する。
第三章『呪糸を辿りて忘れられた街へ』
カイルは、ベルを救うため、自らの名前と過去を死神に預けて誓いを立てる。
ベルは呪いを解く手がかりを求め、忘れ去られた記憶の街へと向かう。
だが、そこには彼女を狙う“支脈の呪徒”たちが待ち受けていた。
第四章『その光が救うものは』
ベルを救う鍵は、「死神の祝福」からの解放にある――
そう信じたエラヴィアは、ベルを想うがゆえにその手を差し伸べる。
同じ頃ノクスはトーノと玄宰とともに、過去と向き合う旅へ。
“救い”とは誰のためにあるのか。
答えのない問いが、彼らの心を試してゆく。
最終章『その祝福は死よりも長く』
物語は、終わりの始まりへ――。
永遠の中で重ねられた愛と孤独。
そして、最後に彼女が選ぶ運命の結末とは。