少女の名はベル。
その瞳の奥には、永劫の時を歩んだ者だけが持つ、静謐と諦観の影が揺れている。
彼女は人間でありながら、死神の祝福を受け、“不老不死”という名の呪いと、異質な魔力をその身に宿した。
だが、彼女は知らない。
誰がその運命を彼女に背負わせたのか。
魔力が尽きるたび、彼女は「死神の揺り籠」と呼ばれる殻に包まれ、世界から隔絶されるように深い眠りへと落ちていく。
そして夢の中でだけ、死神ルーヴェリスの記憶が戻る。
彼の声、微笑み、哀しみが、幻のようにそっと触れてくる。
再会は夢の中だけ。想いが交わされるほどに、終わりの時は静かに迫る。
それは、永遠に触れ合えない二人に課された、甘くて、苦しくて、哀しい罰。
人の狂気と愛と欲、闇と優しさの狭間を渡り歩きながら、彼女は答えのない旅を続ける。
――これは、死を奪われた少女が、生きる意味を探し続ける、終わりなき祈りの物語。