桜咲く春を迎えた逢桜町の日常は、完全自律型AI〈エンプレス〉によるサイバーテロで一変した。
現実と仮想現実は次元を超えてひとつになり、変化を許容できない人間が怪物と化して牙を剥く。
その対応に苦慮した日本政府によって町は封鎖。ほぼ陸の孤島となってしまった。
それから一年。作家を志す逢桜町民の少女・澪は、ある秘密を抱えひっそりと暮らしていた。
それは、あの事件が自作のSF小説『トワイライト・クライシス』を盗用したものであるということ。
盗作のショックと「原作者」にされた責任から逃げていた澪だが、高校進学を機に汚名を返上しようと決意する。
「大丈夫。あたし、バッドエンド嫌いだから」
想いが力を持ち、現実を塗り替えてしまうなら、それを逆手に取ればいい。
すなわち――作者自身が小説の主人公となり、決められたシナリオをねじ曲げること!
そして、強靭で凶暴な怪物へ対処するため、編み出された方法とは……。
絆を紡いで黄昏を越え、大団円を目指す戦いが今、桜とともに花開く。