エヴァが十八歳になった途端、結婚が決まった。
貧乏で借金まみれの実家を救うためにはどうしても必要だった。
金が欲しい貴族と嫁が欲しい貴族による結婚は珍しくない。
相手は王立大学に通うドノヴァン・デルウィンザー。二十歳。
公爵家の跡継ぎで、すでにデルウィンザー伯爵を名乗っている。
文武両道。容姿端麗。結婚したい男性として人気者の貴公子だが、本人は結婚どころか女性にも興味がない。
血筋が絶えないよう結婚して子どもを作ってほしい両親は、恋人を作ってはどうか、気軽な交際でもいいと何度も伝えていた。
しかし、息子は全く取り合わない。
結局、金で買ったと言われても仕方がない花嫁を迎えることになった。
契約結婚から始まった二人の行方は……?