「戦えない奴に払う給料はない」
大手探索者クラン《ヴァンガード》で十年間、魔獣素材を捌いてきた解体師・真壁宗一(三十四)は、外注化を理由にクビを切られた。
再就職先も見つからず、深夜に始めた解体配信。視聴者はたった三人――のはずが、無駄なく骨を外し、最高品質の素材へ変える職人技が切り抜かれ、一夜で大バズりする。
配信を見つけた人類最強のS級探索者、ダンジョン庁、伝説を追う配信者。誰もが真壁を「人間国宝」と呼ぶが、本人はただ飯を作りたいだけ。
やがて真壁は、S級素材をまかないにする深夜食堂を開店。一方、彼を切ったヴァンガードでは素材品質も利益も崩れ始め、ようやく失ったものの大きさに気づいていく。
今さら戻ってこいと言われても、もう遅い。
「いや、飯屋が本業なんで」
これは、戦えないからと捨てられた解体師が世界に価値を見つけられ、最強たちの帰る場所になる物語。