突如、東京湾岸に口を開けた巨大な異常空間《第七湾岸回廊》。
高報酬の求人と派手な広告、そして“回廊帰りは人生が変わる”という根拠のない噂が、人々を地下へと誘う。
就職に失敗し、奨学金という名の借金だけ抱えて大学を中退。
コンビニと倉庫バイトを渡り歩きながら、病気の母と失業中の父、進学を控えた妹を支える——はずだった境直耶(さかい・なおや)の毎日は、「不運」という一言では済まない行き詰まりの連続だった。
危険は承知のうえで、直耶は研修生として湾岸の地下へ降りていく。
そこは、日本中から集まった「行き場のない連中」が、ただ生き残るために武器を握る場所だった。
ここで何も掴めなければ、終わるだけ。
ここで何かを掴めば、本当に変わるのか。
そして、誰も気に留めない「小さな違和感」は、直耶の中で少しずつ大きくなっていく——。
行き場のない青年は、
それでも明日を確かめるために、今日も湾岸の地下へ降りていく。