長く続いた戦争を終わらせる講和の条件として、グラニス竜王国の氷の才女アストリッドと、マギノリア聖王国の聖王子レナートの婚約が決まった。
幼い頃に将来を誓いながら戦火に引き裂かれた二人は、祖国のために尽くしつつも、再会の約束を支えに戦争の終結を実現させた――と、そんな美談と共に発表された政略結婚である。
だがその裏で、二人は自国の王から密命を帯びていた。
「隣国は戦局を変える兵器を開発しており、講和はそれが完成するまでの時間稼ぎでしかない可能性が高い。ゆえに、婚約相手を籠絡し、その秘密を暴き出せ」――と。
つまり、相手を惚れさせ、機密を聞き出すのが目的。
これは、惚れたら破滅の溺愛ゲーム。
――ではなく、とっくに両想いの二人が、惚れたら破滅と思い込み、必死で相手を堕とそうと空回りする。不器用すぎる二人を見守る政略婚ラブコメディである。
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