前世は平凡な三十代の会社員だったニコラス。気づけば異世界エルミア、小さなエルデシア王国の片隅、ミレット村で、元有名冒険者夫妻の二男として生を受けていた。
この世界では、人が習得できるスキルの数には限界がある――過去最大で「六つ」。両親でさえ、それぞれ五つのスキルしか持たない、いわば才能の頂点にいる存在だった。
しかしニコラスには、誰も知らない特殊な力が備わっていた。スキルを制限なく習得できる、規格外の才能。だが本人にその自覚はまるでなく、ただ「使いたい」と思った技術を、当たり前のように身につけながら育っていく。
穏やかな父から剣術を、勝気な母から魔法を学び、王立学園では身分も得意分野も異なる友人たちと出会い、時に嫌味な貴族のライバルと衝突しながら、六年間の学園生活を謳歌する。その間にも、ニコラスは誰にも気づかれぬまま、スキルの数を静かに積み重ねていった。
学園を卒業し、国からの誘いを断って自由な冒険者の道を選んだニコラス。だが久々に実家に帰省した際、父との模擬戦で――その異常なまでの実力が、ついに白日の下に晒されることになる。
無自覚のまま積み上げてきた規格外の力は、これから彼の人生を、そしてこの小さな王国の運命さえも、大きく動かしていく。