サービス終了したはずのソーシャルゲーム『ラグナロク・オーダー』。
突然の終了からしばらく後、ゲームのキャラクターたちは現実世界へ現れた。
彼女たちは、自分を選び、育て、愛してくれたプレイヤーを今度は自分たちの意思で選び返し、“妻”として帰ってきた。
あるプレイヤーのもとには、長年愛用していたキャラクターが。
あるプレイヤーのもとには、推し続けた最愛の嫁が。
あるプレイヤーのもとには、共に戦場を駆け抜けた相棒が。
そして、嫁たちが帰ってきた奇跡は、幸せな再会だけでは終わらなかった。
世界中にモンスターが現れ、駅は迷宮へ変わり、日常は『ラグナロク・オーダー』に侵食されていく。
人々が奇跡の再会に涙する中、新卒一年目の会社員・マキトだけは違っていた。
彼は『ラグナロク・オーダー』をインストールしただけで、チュートリアルすら終えていない。
キャラの名前も知らない。
性能も知らない。
思い入れもない。
そんなマキトの前に現れたのは、未実装だったはずの最上位キャラクター、シエルとメルシー。
当然のように妻として振る舞う二人を前に、マキトは呟く。
「……誰だよお前ら」