侯爵にして裏社会を束ねるアルディーニ家。
その一人娘ルクレツィアは、『悪道貴族の愛娘』として恐れられる令嬢だった。けれど本人は、恋愛小説を愛するごく普通の少女。
ところが婚約者は、平民の娘に心を奪われたと言って一方的に婚約破棄。しかもその瞬間、ルクレツィアは思い出してしまう。
この婚約破棄こそが、自分が破滅する未来の始まりだったことを。
破滅ルートを回避するため、ルクレツィアは王都の名門学園へ通い、自分の手で自由な恋を探すことを決意する。
……しかし、そんな彼女のそばには、護衛騎士ヴァレリオがぴたりと付き従っていた。
寡黙で冷静、命令には忠実。
表向きは完璧な護衛騎士。
けれどその正体は、アルディーニ家の裏を支えてきた処刑人――赤い手《ラ・マーノ・ロッサ》。
彼はルクレツィアのためなら血に塗れることも厭わないくせに、肝心の彼女には決して触れようとしない。
そのくせ危険が迫ればどこからでも現れ、誰よりも先に彼女を守り、逃げろと言われれば本当に世界の果てまで連れ去れそうな男だった。
恋を探しに来たはずの学園では、元婚約者の再登場、令嬢たちの思惑、地下賭博場、生徒会副会長の不穏な執着と、次々に騒動が巻き起こる。
そのたびにルクレツィアは、令嬢らしい優雅さとファミリア仕込みの手腕で破滅フラグを叩き折っていくのだが、気づけばいちばん厄介なのは外の敵ではなかった。
護衛騎士の執着が、重すぎる。
これは、破滅ルートを回避したい悪道貴族令嬢が、学園で自由恋愛を掴もうと足掻くうちに、いちばん近くにいた危険な護衛騎士の重すぎる愛から逃げられなくなる物語。