「君は地味で退屈だ」——五年間、王宮の禁書庫を守り続けた管理官セレスティーヌは、王太子に婚約破棄を告げられた。
泣かなかった。怒鳴らなかった。
鍵束と管理簿を机に置き、一礼だけして去った。
翌朝、王宮は気づく。禁書庫の魔法錠が、もう誰にも開けられないことに。
外交機密、血統証明、軍事記録——すべてが封じられた王国に、隣国の公爵が訪れる。
「あの管理官殿を、こちらにいただきたい」
三年間、文書照会の返書だけを追い続けていた男の目的は、条約ではなかった。
※冷却系ざまぁ/溺愛/ハッピーエンド
※本作は同タイトルの短編の連載版です。