大学進学を機に、祥子は古いアパートで初めての一人暮らしを始めた。
隣室が事故物件だと知ってはいたが、特に気に留めることもなかった。
だが大学生活が始まると、夜ごと「何か」が隣から訪れるようになる。
金縛り、玄関を叩く音、そして夢の中の気配。
階下の先輩は怪異を仄めかし、同じ階の老婦人は何かを知っているようなのに――決してこの話題に触れようとしない。
“それ”の訪れは、やがて耐えられないほどの恐怖に変わる。
そして祥子が大家である叔父に助けを求めたとき、調査に現れたのは……
一人の老人と、その孫の少年だった。