現代北海道から異世界北海道へ転移した上田爽子は、失踪した夫に新しい妻がいることを知る。
この世界では、生きるために、そして守るために新たな家庭を築いていた熊一。彼は爽子にも「第二夫人になってほしい」と願うが、爽子は静かに首を振る。
「私は、誰かの二番にはなりたくない」
彼女は十勝領で食堂酒場「ヴェダ亭」を開業し、「北海道の食文化を異世界に広める」ことを目標に第二の人生を踏み出した。
豚骨ラーメンやスープカレー、ミネストローネ、いももちなどの料理は大人気となり、店は連日満席。農業ギルド職員のテオと協力してトマトや生姜の栽培にも成功し、歌うトマトや妖精ヴェダーのペレットを利用した有機肥料、コーンスターチの製法など、新しい農業・食品技術も次々と生み出している。
爽子とテオの距離は少しずつ縮まり、畑仕事や料理をともにする中で互いを意識するようになった。しかし爽子は、自分に離婚歴があることや、元夫が現在ア・バーシリー辺境伯であることを打ち明けられずにいる。
一方、市場で出会った青年レオンは十勝領の公爵令息であり、ヴェダー亭の常連となる。そしてア・バーシリー領では、元夫・熊ちゃんが歌うトマトをきっかけに爽子の生存を知り、再会を望み始める。その想いは現在の妻の嫉妬を招き、新たな波乱の火種となりつつある。
物語は、ヴェダー亭の繁盛と北海道の食文化の普及を軸に、爽子、テオ、レオン、熊ちゃん、それぞれの想いが交差する。
※カクヨム同時掲載