ある日の未明、薄暗い世界を吹き飛ばすような光、すなわち『流灯』の前兆が観測された。
それは数百年に一度起きる伝説の再来であり、世界は慌ただしく熱を帯び始める。
そして、最北端に位置する氷雪の大陸、白髪の少年『ラピス・エーテル』が住む『メトーゼ』もまた、その影響を受け始めていた。
「明日、流灯が世界を照らすのです」
それは英雄と呼ばれた人物が命を散らした日、災厄が数々の命を蹂躙していった日。そして、災厄が封印された日でもあった。
そんなことも知らずに、ラピスは明日の朝をただ夢見る。
これは命と記憶を追い求める果てなき冒険譚。
白髪の少年、ラピス・エーテルの物語である。
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(カクヨムにて同時投稿しております。◇旧タイトル 灯火の回廊)