「セラフィーナ・グランヴェル! 貴様との婚約を破棄する!」
……承知いたしました。では、私が八年間無償で続けてきた王宮の薬の調合と品質管理も、本日付で停止いたしますね。——お大事になさってください。
前世の薬剤師知識を持つ公爵令嬢セラフィーナは、婚約破棄を機に北の辺境ノルデンで念願の薬屋を開業。五年間どんな医者にも治せなかった辺境伯さまの痛みを一晩で消したら、週に三度も通ってくるお得意さま第一号になってしまいました。対価と称して、薪を割り、屋根を直し、今日も店先に立っています。
一方その頃、王都では「薬が効かない」という悲鳴が広がり、ついに王太子殿下が倒れて——?
戻りません。診ません。ただし、診られる人間は育てます。これが私の、新しい処方です。