代々強い火魔法を授かって来たデュラン侯爵家の次女クロエ。家族と共に向かった神殿の洗礼式──彼女に与えられたのは「色変え」というハズレスキルだった。
貴族は強い攻撃スキルを持って平民の上に立つのだという価値観が蔓延る中、期待を裏切ったクロエは両親に見捨てられ離れの小屋に追いやられてしまう。たったひとり付いて来てくれた侍女と共に刺繍の小物を売って生活してきたけれど、姉が王太子の婚約者に選ばれたことで家の恥たる存在は処分すべしと籍を抜かれて平民になった。
縁あって雇われた仕立て屋で技術を学び、その後店を譲られ若き店主となる。昔馴染みの常連客が離れていく中、様々な工夫を凝らして新たな顧客を開拓し、クロエの店は徐々に話題の人気店へと成長していった。
ある日、突然店に現れた黒髪赤目の青年に乞われて色変えのスキルを使ったクロエ。対価だと言って金貨を握らせ去って行ってしまった彼の正体は──?
逆境にも負けず、与えられた環境で精一杯努力し続けるクロエ。生まれ持った色彩故に周囲から身勝手な期待をかけられ、その存在を疎んで刺客を送られてきた第二王子フェリックス。二人の運命が重なった時、白黒の世界が色鮮やかに輝きだす。