ロザリオの街では聖女セレストが、歌で人々の病や傷を癒していた。
大聖堂には国中から巡礼者が集まり、こぞって聖女の恩恵にあずかろうとしている。けれど、美しいセレストが実は男性だということは一部の関係者以外は誰も知らない。
男の聖女は短命だ。生き神としてこの世に降りていたセレストも19歳でこの世を去った。聖女が仮宿にしていた体の持ち主は、セレストが眠りに着いた後、すべての記憶を失った状態で目を覚ました。
からっぽの棺で聖女の葬儀を終え、かつてセレストだった青年はセリと名付けられ徹底的に秘匿された。
セレストを深く慕っていた側仕えのユスラは、教会から元聖女・セリの世話を命じられる。二人は北のはずれの漁師町ファヴェルへ向かう。
見た目は聖女セレストのままなのに、中身は別人の幼いセリ。聖女の器も短命と言われ、ユスラは複雑な想いを抱えながら何も知らないセリと暮らし始める。自分にとって世界で一番大切だった聖女セレストが、最後にユスラに託したセリ。
彼が残りの人生を全うするため、ユスラは自分の全てを捧げて支えようとするがー
流行りの要素はなにひとつありません。切なめで静かな話が、どなたかの心に刺されば嬉しいです。