「奇跡を疑う女は、妻にできない」——聖女の奇跡に収支の矛盾を指摘した令嬢カサンドラは、衆目の中で婚約破棄された。
だが彼女の「疑う目」を買ったのは、教会一の嫌われ部署・聖務監査局。
偽聖女の舞台装置は工事台帳から。奇跡の光は蝋燭の発注簿から。治癒の値札は献納の記録から。
奇跡を名乗る経費のすべてを、帳簿と現場検証で検めます。
相棒は、「私を疑って、証明してください」と願う本物かもしれない聖人さま。
敵は、奇跡を金に換える者たちと、疑うこと自体を異端と呼ぶ審問官。
これは、疑うことでしか信じられない監査官が、本物の奇跡に出会うまでの記録。
——その奇跡、領収書はありますか。