高校生の少女・和葉と出会ったのは、冷たい春の雨の夜だった。
雨に濡れ、言葉も発せずにうずくまっていた彼女に、銭湯へ向かう途中だった弓削は思わず足を止める。
しかし相手は未成年。今の時代、見知らぬ少女を助けることは誤解やリスクと紙一重――それでも、放ってはおけなかった。
慎重で誠実であろうとする男と、誰にも甘えることができなかった少女。
二人は同じ屋根の下で暮らし始め、少しずつ日常を取り戻していく。
そして二年後、彼女が大人になった日に、初めて伝えられる“本当の気持ち”があった。
コンプライアンスと良心と恋心の狭間で揺れる、不器用な二人の、静かで真面目な年の差物語。