転生したら、路地裏出身の孤児Aだった。
しかもこの世界は、前世でやり込んだゲーム「ツーリェ・フロンティア」とそっくりである。
前世で散々こき使われ疲弊していた俺は誓った。
今世では資本主義に飲まれることなく、異世界でゆっくりスローライフを送ろう――と。
だがこの孤児Aはシナリオ進行上、必ず死ぬ【負けイベント要員】だったのだ。
このままでは念願のスローライフどころか命すら危うい。
危機感を抱いた俺は一念発起し、ゲーム知識を駆使してスキルや剣術をマスターしていく。
往く先々でオークや魔人を打算で救済し、ときに酒片手に「いつかエルフとかオークとか色んな種族と酒を飲み交わして暮らしたい」と夢を語らいあった。
そうして準備を整えた主人公は、魔術学校へ入学する。
負けイベントを生存ルートに変える最初の分岐点――悪役令嬢の断罪イベントを攻略するために。
◆◆◆
主人公は知らない。
酔った勢いで語った言葉が亜人たちの心を震わせ、武装国家が誕生していたことを。
彼らが主人公を【賢王】と祭り上げ、世界を裏から支配し、革命を起こそうとしていることを。
主人公は何も知らない。
本人はただ負けイベントを生存ルートに変えようと、奔走しているだけなのに――。
スローライフ願望の強いモブによる勘違い建国記(何もしていない)