かつて、『鬼斬姫』と呼ばれた最強の刀士がいた。
彼女は戦場で産声を上げ、刀を拾い、斬り、殺し、喰らい、生きてきた。
だが……あまりにも多くを殺し過ぎた彼女は、神によって粛清される。そして、その濁りきった魂は神でさえも持て余し……最終的に封印され、とある世界で、一人の少女として転生させられる。
その世界は、『斬る』という概念が存在しない世界だった。
その世界では、戦いはすべて「魔法」で行われている。
剣や斧といった武器は、遠い昔に失われ、今では子ども向けの昔話にしか登場しない存在だった。
魔法。少女が全く知らない未知の力。
少女は魔法を使えず、落ちこぼれとして蔑まれた。
だが、少女と共に封印された愛する魔刀が手に戻った時……少女の物語は始まる。
魔法では防げない一撃、詠唱よりも早い一太刀、そして――『斬る』という単純で圧倒的な力が、少しずつ世界の常識を壊していく。
少女は気付く。この世界が剣を失ったのは、偶然ではない。「危険だから」という理由で、誰かが意図的に消したのだと。
剣を使う者は異端とされ、少女は世界から狙われる存在になる。
それでも少女は剣を振るう。これは、
魔法しか知らない世界に、ただ一人『斬る』という選択肢を取り戻す物語。
最強でも、英雄でもない。
ただ、剣を捨てなかった……捨てられなかった少女、イチゴ・ヒトフリの物語。